演習の開始にあたって
   
     
   
      サイエンスのおもしろさ    
      アジアの小国である日本が、技術立国を確立し、大きな発展を成し遂げたのは、歴史的事実です。    
      その波は、アジアを中心とする諸国に及び、大きく発展しています。    
      この20年の間、この技術主導の思想は、経済主導にとって代わられてきましたが、このところ再び理工学分野やもの作りが大きくとり上げられるようになってきました。    
      物理、数学、コンピュータ・サイエンスは、決してやさしいものではありません。星一徹のように我武者羅にスパルタ特訓をして、エキスパートを養成しようとしてもなかなか飛雄馬君は育ちません。    
      でも、この分野にたくさんの専門家や研究者がいます。この人たちは、サイエンスの中にひそむ面白さを発見した人たちです。    
      この講義では、フーリエ変換というアドベンチャー・ワールドを冒険します。そこには、身近な物理現象の興味から数学の面白さ、離散情報を扱う情報科学の世界がパズルを解くように展開します。    
      内容的には、かなり高度なものを含みますが、それが理解できなければ先に進めないというわけではありません。むしろその難解さの中に潜む輝くような美しさを体験してほしいと思います。    
           
      役に立つフーリエ変換    
      連続量を対象とするフーリエ変換は、積分変換系の代表的なもので、数学、物理の基礎に深くかかわっています。これを理解していると、他分野の理論の理解が容易になり、さまざまな研究分野に応用がききます。    
      また、離散量を対象とする離散フーリエ変換は、今日のデジタル時代の信号処理の基盤となっています。    
      この理解は、実社会に出てからの、ハードウェア、ソフトウェアの研究、開発に大きく役に立ちます。
   
           
      作ってわかる本質と理論    
      理工系でフーリエ変換が必修科目となっているところでは、単位の鬼門と呼ばれることがあります。数学的厳密性から積み上げていくと数式のジャングルの中で挫折するかもしれません。    
      翻って周りを見渡すと携帯電話の変調、画像や音声などの信号処理は、ほとんどがデジタルで、離散量処理になっています。    
      連続量のフーリエ解析でわからなくなったら、離散フーリエ変換に跳んでしまいましょう。そして作ってみます。そこからは、逆に本質がつかみやすくなると思います。
   
      在学中にフーリエ変換がわからず散々苦労した人で、信号処理設計の第一線で活躍しているエンジニアが数多くいます。    
      その人たちは、実際の設計経験から、本質を学びとっています。    
      大胆な言い方ですが、理論がわからず、ともかく設計してみて、モノを動かしていく過程で、光が見えて、理論がわかっていく。そんなものです。    
      わからないから作れないのではなく、作ってみるからわかってくるということです。実験や演習を通して、理論が身についていきます。
   
      それでは、フーリエ世界への冒険をはじめましょう。
   
           
      予習について    
      第一回の授業の前に、以下の資料に目を通しておき、疑問、質問点をリストしたシンプルなレポートを作成しておいてください。    
      各自の理解度に応じて、進めていきたいと思います。場所は、HPの右側中段、情報科学、数学物理学関連導入    
      2.複素関数追補 ネイピア数,ラプラス変換とフーリエ変換の数学 の以下の講義資料です。    
     

http://www7.tok2.com/home/mikamir/MEIJI/CS_HW2_2013.pdf

   
      三上廉司 September 19th. 2014    
           
           
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